顔のたるみケアに利用する幹細胞コスメはヒト由来と植物由来はどう違う？

細胞に働きかけ、お肌を根本から元気にしてくれるという話題の幹細胞コスメには、ヒト由来のものと植物由来のものがあります。どのように違い、どう選んだら良いのでしょう。ヒト由来のものと植物由来のものとの違い、選ぶポイントなどをまとめました。

 

 

年齢を重ね、気になり出した顔のたるみケアに幹細胞コスメを使ってみようかと考えているあなたの参考になればうれしいです。

 

ヒト由来幹細胞コスメとは、人間の幹細胞を培養した「幹細胞培養液」が配合された化粧品です。人間の体の中には、様々な種類の「成体幹細胞」が存在していますが、今のところ美容や医療の分野で最も利用されている幹細胞は、皮下脂肪から採取した「脂肪由来幹細胞」です。

 

 

幹細胞は、様々な細胞になることができる能力（多分化能）と、自分と全く同じ能力をもった幹細胞をコピーできる能力（自己複製能）を持っている細胞ですが、よく化粧品などに利用される脂肪由来幹細胞は、「間葉系幹細胞」に分類され、筋肉（心筋）、軟骨、骨、脂肪細胞、線維芽細胞といった限られた細胞に分化する能力を備えています。

 

 

脂肪由来幹細胞は、皮下脂肪から簡単に採取でき、少ない脂肪から豊富な幹細胞を採取できるという特徴があります。

 

 

また、脂肪由来幹細胞を培養した際には、一般の細胞を培養しても得ることができない成長因子などのサイトカイン（細胞活性のカギとなる情報伝達物質）が豊富に含まれるという特徴も化粧品原料として利用されている理由の一つです。化粧品表示名称では、「ヒト脂肪細胞順化培養エキス」と表示されます。

 

 

ヒト由来幹細胞培養液は、ヒト由来と言うことから、お肌に塗布したときの、肌なじみは、とても良く、浸透しやすいのも特徴の一つです。

植物由来の幹細胞コスメとは、植物の幹細胞を取り出し人工培養で増やし、得られた細胞から抽出したエキスを配合した化粧品です。代表的な植物由来の幹細胞と言うと、「リンゴ幹細胞」や「アルガン幹細胞」などがあります。また、朝鮮人参に似た「山人参」、フランスで採れる「クステマリン」と呼ばれる薬草などから抽出した幹細胞エキスもあります。

 

 

植物には、環境さえ整っていればそこで永久に生きられる再生能力が備わっており、これがヒトの幹細胞に栄養を与えたり、活性化させ、お肌をイキイキと蘇らせる効果をもたらします。また、ヒト由来に比べて、値段も少し低めなので、家計に優しく続けられるメリットがあります。

 

 

リンゴ幹細胞エキスとは

 

 

「ウトビラー・スパトラウバー」というスイス産のリンゴ幹細胞エキスです。このリンゴは、収穫後4ヶ月経っても腐らないことから、「奇跡のリンゴ」と言われています。しかし、絶滅危惧に瀕した希少な品種のため、化粧品の原料として利用するほど実を入手することができませんでしたが、実から幹細胞だけを取り出し、培養し、大量に得る技術が開発され、化粧品原料として利用できるようになりました。

 

 

アルガン幹細胞エキスとは

 

 

「アルガンツリー」という樹木の芽の幹細胞エキスです。アルガンツリーは、サハラ砂漠の北西に位置するモロッコ南西部の砂漠地帯に生息する樹木で、砂漠の極度な乾燥や高温などの厳しい環境に耐えられる生命力を備えています。

植物由来とヒト由来の幹細胞コスメの特徴については、理解できましたよね。さて、幹細胞コスメを選ぶポイントとなる大きな違いと言うのが存在します。それは、細胞の必要な情報伝達が上手く行われるかどうかと言う点です。

 

 

ヒトの細胞には、情報をスムーズに伝達し、受け取ることができると「細胞の活性化」が始まると言われています。そのポイントとなる点は、細胞の表面にある特定の形をしたレセプターというものです。このレセプターにピッタリはまるリガンドという情報伝達の物質が結びつくと細胞が活性化します。

 

 

 

 

一方、植物由来の幹細胞コスメには、抗酸化作用や潤いを与える作用があると言われている一方で、レセプターとリガンドの仕組みはないのです。レセプターとリガンドの仕組みは、動物特有の情報伝達手段と言われています。

 

 

このように、植物の細胞とヒトの細胞では、仕組みが全く異なるので、植物由来の幹細胞エキスが、ヒトの細胞に対して明らかでない点も多いと言われています。植物由来の幹細胞コスメを利用する場合には、そのような事を理解したうえで使用することが大切だと考えます。